2014年6月21日土曜日

護国寺茶寮「第28回柳営茶会」


地下鉄有楽町線の護国寺駅に着いたのは、ちょうど午前9時。

今日は、石州流伊佐派の磯野宗明先生のご縁を頼って
伺った「柳営茶会」。

石州流伊佐派は、千代田城(江戸城)内で教えていた流派であると
聞いている。

柳営茶会は、そのような江戸・徳川時代の伝統をいまに伝える、
武家茶道4流派によって、毎年開催されている。






















案内では「10時から」とあるが、
その1時間前には人が集まり、
その集まった様子を見て、第一席を始めるのが、
寄せ茶会である。
特に護国寺での茶会は人気があり、
ゆっくり出かけていたのでは、
1席しか入れずに帰ることにもなりかねない。

ということで、今日は、必ず3席は回ろう、と
張り切っていた。

すでに前を歩く方が何人も見える。



 階段を上り、「不老門」をくぐって、
まずは本堂へと進み、余裕をもって、ご本尊様にご挨拶。

こうでなくてはいけない。
これまでを振り返り、反省する。

茶会の朝には、着物を着る余裕、数寄屋袋(茶席に必要なふくさ、懐紙、
扇子、楊枝などの小物をまとめて入れる袋)と茶券を点検する余裕、
いろいろな余裕が必要である。




受け付けを済ませ、「会記」をいただいた。




荷物を預け、左手一番奥にある「月窓軒」の、
石州流伊佐派・八世磯野宗琢先生のお薄茶席へと急いだ。











床の掛物は、五代将軍綱吉の描いた「馬図」。
「柳営御物(りゅうえいごもつ)」として、
この茶会のために徳川宗家から拝借したものであるという。
今年は午年であるということもあるが、
護国寺が、綱吉が母の桂昌院のために建立した寺であることからも
今日の席にはふさわしい。

石州作の茶杓、石州好「切子釜」、石州好茶器「一文字桐」、
石州好天目茶碗「七ツ菊」などのお道具が揃い、
片桐石州侯の御席を偲ばせる席づくりであった。

将軍や大名家に伝わる立派なお道具にため息をつきながら、
お点前、お運びのかたがたの動き、所作の格調の高さに
正客をはじめ一同が静かに見入っていた。

お茶が点って初めて、正客が口を開く。
席主は、お身体を養生中の宗琢先生に代わって務められる宗明先生。
落ち着いたお話しぶりが、心に残った。






















点心をいただいたのち、
2席目は、濃茶席「牡丹の間」へ。
旧平戸藩主伝来・鎮信流宗家・松浦宏月先生のお席である。

松浦家伝来の品や平戸御庭焼などによるお道具組も、
ご宗家の対応も、大らかで、いかにも「殿様の茶」という感じだった。

歌舞伎「松浦の太鼓(まつらのたいこ)」では、
中村吉右衛門が演じる「松浦鎮信」を観たことがあるが、
あの「大らかさ」に通じる。

3席目に入った、立礼席(薄茶)は、
旧磐城平藩主伝来・御家流宗家。安藤綾信先生のお席。

長身のドイツ人男性がきりっとした「武家らしい」お点前をされ、
印象的であった。





















3席それぞれの味わいがある、よいお席だった。











 

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