2014年2月25日火曜日

美術館めぐり(両国・江戸東京博物館/日本橋・三井記念美術館)


















小学校時代からの友人Cさんと、選んだ今日の美術館めぐりのコースは、

江戸東京博物館からのスタート。

































1月から見たい見たいと思っていた「大世絵展」(1/2-3/2)が

今週末まで終了ということもあり、11時に現地で待ち合わせとした。

到着してびっくりした。

人は皆同じように考えるものなのだ。

企画展の入り口は、チケットを購入するところから長い列。

会場は大混雑。

人の波をくぐり抜けながら、浮世絵の歴史をたどることになった。

少し離れたところから絵を眺めてみて、わかったこと。

春信の魅力は、なんといっても色が美しいこと。

清長は、長身の美女たちの群像とと背景とのコンポジションが素晴らしい。

歌麿には、思わず人をかき分けて近づかずにはいられない魅力があった。

写楽、北斎、広重、国芳、芳年、多くの魅力的な画家が並ぶ。



展示替えのたびに来ていたら、約340点もの作品を観ることができた。

博物館ニュースによれば、「教科書に載っていた」などの

「親しみやすさ」を第一に、作品を集めたとのこと。



「今日出合えた一番」を挙げるなら、

歌麿の肉筆画「夏姿美人図」(遠山記念館蔵)である。

歌麿の力量を改めて認識させられた。























JR両国駅へ。

西口改札から入り、ホームの後方、東口の方へ移動しながら

ここから見える風景について話す。

 博物館と水道局と国技館と駅、もう少し仲良くならないものか。

 みんなそれぞれの方向を向いている。

 両国は、お江戸の文化の中心地。

 2020年のオリンピックの年までにはなんとかなるのだろうか。

博物館の内容が充実しているからこそ、この見え方が残念でならないのだ。


















両国から一駅目の浅草橋で下車。

そこから都営浅草線で日本橋へ。

目指すは、日本橋2丁目の穴子専門店「玉ゐ本店」。

高島屋の裏通りにすぐに見つけることができた。

時刻は午後1時半、店内はいっぱい。5分くらい待って入ることができた。

「箱めし」も名物なのだが、迷った末、「穴子ちらし」を注文する。






























期待通りの食事のあとは、中央通りに出て「日本橋」を渡り、三井記念美術館へ。

「三井家のおひなさま 特別展示 宴のうつわ 展」を開催中。

三井家の夫人や娘たちのひな人形やひな道具(明治以降のもの)は

どれも穏やかなお顔。大切にされてきたにちがいない。

ちょっと面白かったのは、男の子の初節句に揃えられたという

「御所人形 大名行列」(昭和8年)。

ま~るいお顔のコロコロした人形たちが演じる大名行列の姿は、

なんとも愛らしくユーモラスでもあり、見入ってしまった。



 

美術館を出ると、午後4時になっていた。

「3月にもまたね」と約束して、Cさんと別れる。

約5時間のコース、幼なじみとの道中をのんびりと楽しんだ。




2014年2月16日日曜日

杉並区立角川庭園「幻戯山房(旧角川家住宅)」茶室で



東京の空は朝からきりっと晴れ渡っていたが、

一昨日一日中降り続いた「記録的大雪」と、

昨日の雨によって、地面の方は水浸しで、悲惨な状態だった。

荻窪駅から着物で歩くのはまず無理な状況と判断し、南口からタクシーに乗る。

一方通行の道路があるため、現地の手前で車を降り、50メートルくらい歩いた。

滑らないように、はねを上げないようにと、ゆっくりと。

歩行困難な道を通り抜けてやっと到着。

杉並区立「角川庭園」とその敷地中に建つ「幻戯山房~すぎなみ詩歌館~」。

今日は、その茶室を借りて、親しいメンバーでお茶会をすることになっている。

顔が揃うのは13時であるが、準備のため11時に入った。

ちょうど同じ時刻にタクシーで到着された堀之内宗丘先生も雪の残る坂道を

車椅子で上って来られた。



 

門を入ってからは、しばらく庭の景色を楽しむ。

雪の積もった庭園を歩くことはできないが、

今日しか見られないかもしれない見事に白く覆われた庭と

空の青とのコントラストがとても清々しい!

この瞬間に、ここまでの道の大変さは体中から抜け落ちた気がした。




















































玄関から草履を脱いで建物内に入ると、まず左手に展示室があった。

 














































ここ「幻戯山房」は、

俳人で角川書店の創立者である角川源義氏の自宅だった建物である。

展示室は、角川氏の書斎だった場所。

展示室の奥には、「詩歌室」と呼ばれる大小の洋室がある。

庭に面した大きな硝子戸から光が差し込み、

明るく居心地のよい空間である。

今日も午前中は、大きい部屋は俳句の会で使っていたようだ。

平成21年に5月に区立の施設として開館し、

同年11月には国の登録有形文化財の指定された。






















昔ながらの硝子戸を通してゆらめいて見える庭の景色もまたよい。

南向きの庭は日当たりがよい上に、雪の反射光もあり、きらきらと眩しい。

白梅の花も柚子の実も、春の光を浴びて喜んでいるかのよう。

そんな眺めに見入りながら準備を始めた。























































私たちは一番奥にある茶室と小さい方の詩歌室を使った。

茶室は四畳半で二畳の水屋がついている。

お道具の貸し出しもある。

とくに釜や炉縁、風呂先屏風などのお貸し出しがあるのはありがたい。

炉には灰はなく電気である。

今日のような勉強会茶会の場合にはちょうどよい。
























こうした数寄屋造りの建物や和室の空間を、

管理することは骨が折れることかもしれないが、

家庭の中にそういった要素が失われている今、

日本文化を伝えるための場として、できるだけ大事に保存してほしい。



ゆったりした時は流れ、夕方17時、かたづけて出る時間がきた。

タクシーを呼んでもらい、車椅子用のスロープのある出口から、先生方と共に出る。

管理者として働いている方々は、定年退職後の男性たちなのであろう。

3人いらしたが、どなたも温かみのある対応をしてくださって、

それがこの建物の印象をさらに良くしていると思う。



タクシーに乗るときに「山房」を振り返ると、すでに木製の雨戸が閉められ、

一日を終えた静かな風情がそこにあった。

























森川宗悦先生の用意された本日の菓子、薯蕷饅頭の「早蕨」(千歳船橋・東宮製)。

白と緑の割合がちょうど今日の日にぴったりだった、と思う。








2014年2月8日土曜日

江戸川区・源心庵の初釜席、庭園の雪化粧


今日の関東地方は、予報通りの大雪。

午後はもっと降り積もるらしい、との心配はあったが、

予定通り石州流のT先生の初釜のお席に伺った。

東西線・西葛西駅で下車。

天気がよければ歩いていける距離のようだが、

今日は迷わずタクシーに乗り、「行船公園」内にある、「源心庵」へ。

江戸川区に公園の土地3万平方メートルを寄贈した田中源氏の名前から

「源心庵」の名称が付けられているという。

















タクシーを降りて、周囲の景色を見る余裕もなく

「源心庵」の玄関にたどりついたところで振り返ると、

一面の銀世界の中に雪吊りの松。

初めて訪ねる場所であったので、

写真に納めたい気持ちはやまやまだったが、

雪が降りしきる中での撮影は早めに切り上げ、

雪を払って、建物の中に入り、待合の和室に入った。

そこでもまた、大きなガラス戸の向こうに雪化粧をした庭園の姿。
























雪吊りとは、

雪の重さから樹木の枝を守る豪雪地帯伝来の技法で、

積雪量の多い北陸地方でよく見られる。

降雪量の多い石川県の「兼六園(金沢市)」の雪吊りがとても有名。

降雪量の少ない東京では、

雪から樹木の枝折れを守るという実用性は無いものの、

冬の季節感を出すために施されている。
 
と、江戸川区のホームページには記されている。
 
立礼式の茶席にある大きな窓からも、
 
今日の粉雪に飾られた景色を十分に堪能することができた。
 
T先生のお席は、初釜の華やぎと清新さと2月という季節を感じさせるものであった。
 
加えて、今日のこの雪の庭園の姿は、季節がくれた贈り物である。
 
これこそ一期一会の席。
 
 
 
 


 
 
中でも、金沢の兼六園を思わせる景色を前に、
 
金沢「吉はし」の和菓子・練りきりの「松」。
 
その美しい形と色をいただいたことは、
 
口に中にふわっと広がる餡のあまさと共に忘れがたい。
 
 

 
 
 
 
江戸川区の純和風建築の建物と庭園があることも、今日知った。
 
晴れた日に、また時間を見つけ、めぐってみたいと思う。