2014年10月12日日曜日

上野と竹橋、2つの青磁展を巡る


秋晴れの、気持ちのよい天気だったので、
今日は、青磁の展覧会を2つ観ることにし、家を出た。

1つ目は、上野・東京国立博物館・東洋館5室の
「特集 日本人が愛した 官窯青磁」(5/27-10/13)。










































「会期は明日まで。まずはこちらから観よう」

「日曜日の上野駅辺は人出が多いから、鶯谷駅の方から行こう」

「以前から気になっていたお蕎麦屋さん、鶯谷南口にある『公望荘』に入ってみよう」

頭の中で、こんな具合にコースを決めながら動く、気ままな「ひとり旅」。
こんなささやかな道程も、私にとっては、「小さな旅」である。
日常から切り離された時間・空間は、気持ちをリフレッシュしてくれる。














































鶯谷に着いたころには、13時を回っていた。

驚いたことに、蕎麦屋の店内でR子さんとばったりお会いした。
「どうしてこんなところに!」
お互いにそんな顔をして、見つめ合った。
彼女は講演会の帰りであるという。

素敵な人生の先輩R子さんとの遭遇は、私の「旅」にとって、
幸先がいいこと。

お蕎麦でお腹も満ち、足どりも心も軽くなり、上野の山へ向かって
「新坂」を上っていった。

坂を上りきったところが、ちょうど国立博物館の裏側にあたる。



























正門を入って、本館の右手に建つ東洋館の「5室」に展示された青磁のもとへと急ぐ。





















中国陶磁の青磁は、北宋・南宋の時代には官窯ができて
独特の美の極みに達する。

青緑の色の得も言われぬ深さ。
国内にも、こんなに美しい青磁があるのだ。

「青磁」と呼ばれながら、ミルクティー色を纏う「米色青磁」にも、
強く心惹かれた。

横河民輔(建築家・実業家1864-1945)の収集品が
国立博物館にはまとめて寄贈されているということも知った。


























古代アジア・オリエントの香りに満ちた東洋館に満足して、
少し時間をとりすぎたかもしれない。

「次へと急ごう。このところ、日が沈むのも少し早くなってきている」

上野駅から東京駅 へ。
丸の内北口から「丸の内オアゾ」の中を通り抜け、
東西線に一駅乗れば、竹橋である。

竹橋に降りたのは16時頃。
近代美術館の前を通ると、「菱田春草展」のチケットを買うための
長い行列ができていた。
菱田春草展は11/3まで。展覧会後半になって混雑してきているのだろう。























緩やかな「紀伊国坂」を上り、国立近代美術館工芸館を目指す。

2つ目の展覧会は「青磁のいま」(9/13-11/24)。



中国・宋時代のものから、日本の近現代の青磁までが展覧でき、
時代によって姿や色合いも変わっていく「青磁」というやきものの魅力を
十分に伝えてくれる構成だった。
































工芸館を出たのは、午後5時(閉館時間)近かった。

「皇居側に通りを渡り、大手町側の駅の入り口から入ろう」

乾門・北詰門・平河門、それぞれの門と石垣と堀の水がつくりだす美しい造形を
楽しみながらいく。ところどころに、小さな秋も見つけた。



































竹橋駅にもぐり、約4時間の「旅」は、終了。






















「今日のお土産は、2つの美術館で見つけた本2冊。帰ってからゆっくりと読もう」

これもまた、「旅」の醍醐味である。


2014年9月29日月曜日

六本木・国立新美術館で「チューリヒ美術館展」を観る


ようやく、秋めいた気候になってきて

美術展も真っ盛りである。

「北斎展」「菱田春草展」「日本国宝展」「ウフィツィ美術館展」など、
大型の展覧会が、この秋は目白押しである。

どの展覧会から行こうかと迷っているうちに、
日がたって見逃すことがないように気をつけねば、と
嬉しい緊張状態にある。

今日は、以前から前売り券を購入し、
チラシを眺めて、開催を心待ちにしていた、「チューリヒ美術館展」へ。

六本木の国立新美術館で開催中である(9/25ー12/15)。

こんな斬新なデザインのチラシは今までに見たことがなかった。
これを眺めていると、展覧会への期待も自然に高まるというものである。



























































10時30分、友人と、会場入り口で待ち合わせる。
チケット売り場の方は、長蛇の列だったから、
前売り券を買っておいて、「よかった~」。

















会場内は、「時代の部屋」と「巨匠の部屋」に分けられ、
鑑賞者にとっては、わかりやすく、見やすい、よく考えられた構成である。




















チューリヒ美術館は、10万点の作品を所蔵する、スイスを代表する美術館。
これまで、日本で、まとめてコレクションを紹介する機会はなかったという。

モネをはじめとする印象派の作品も多い。
見慣れたやわらかさ、明るさとは少し違う、抑えのきいた色調の絵が並ぶ。

どの作品からも、美しさだけではない、絵画の持つ力強さというものを
感じることができた。

(絵葉書は、ドガ、セザンヌ、ゴッホの作品)




























自分自身の内面を投影する作品をつくる、表現主義の画家たち
(ベックマン、キルヒナー、ココシュカ等)も、強いエネルギーを発していた。

これまで、「ドイツ表現主義」「オーストリア表現主義」などの絵は、
画集などで観て頭ではわかったつもりになっていたが、
実物のもつ迫力と、時代の流れに沿った展示のおかげで、
特色を肌で感じとることができたように思う。

(絵葉書は、キルヒナー、ココシュカの作品)












































画家たちと同時代を生きた、音楽家たちの曲をBGMにした
音声ガイドも、展覧会の会場をより豊かな空間に仕立てている。

満足のいく内容だった。



地下のミュージアムショップに立ち寄って、
それぞれに、気に入りのモノを見つけて、美術館を出る。














































外は日差しが強く、まぶしかった。
でも、風はすっかり秋、である。


そのあとは、ミッドタウンに隣接している「MERCEDES me」のカフェで
カジュアルなランチタイム。




 
 
ポップコーンを組み合わせたオリジナルのランチセットとデザートを
楽しんだ。
 





















話が弾み、約2時間は居ただろうか。
15時を過ぎてカフェを出る。


「MERCEDES me」の隣にある、軽井沢のパン店・浅野屋へ。





















購入したローズマリーフォカッチャとライ麦全粒粉パンは、正解だった。
六本木へ行くたびに、立ち寄る店になりそうだ。



2014年8月17日日曜日

真夏の千葉県富津市・金谷美術館へ



10時54分、夏休み中の日曜日とあって大混雑の「海浜幕張」から、

「館山」まで行く房総特急列車「さざなみ」に乗った。

「浜金谷」で降りたのは、11時58分。









































列車を降りて、目の前に広がる景色が目に飛び込んできたとき、

本当に久しぶりに、スモッグのない青空と、山と海を目にしたような気がした。




































今日の目的は、「金谷美術館」に行くこと。

開催中の企画展は「現代女流画家の視点―上野の森美術館コレクションー」。























知り合いの画家、池田真弓さんの作品もあった。

抽象表現なのに、みずみずしさをたたえた、彼女らしい画面。

今日、出合うことができて、よかった。

房州石を外壁につかった、シンプルモダンな建物の中には、

一巡したあとに、お抹茶をゆったりいただけるスペースもある。




石蔵を美術館として利用した「別館」も見学。
























小ぶりな美術館だったが、ゆっくりと作品を味わうことができた。


さすがにお腹がすいた。

お昼ごはんは、美術館へ行く道沿いに見つけた店で、

地魚の鯵をたっぷりといただくことにした。





























外は、「ギラギラ」としか表現できないような、強い陽射し。

緑陰と風は、たまらなく嬉しいオアシスとなる。

古民家を改築したカフェでひと休みすることに。





























暑い陽射しを受けて遊びまわって昼寝をすることが日課だった、

幼い頃の「夏休み」の景色の中に、

いきなり迷いこんだかのようだった。



突然プレセントされた一日。

心の絵日記に、クレヨンで描き入れながら、

再び特急に乗って、家路に着いた。