2014年8月17日日曜日

真夏の千葉県富津市・金谷美術館へ



10時54分、夏休み中の日曜日とあって大混雑の「海浜幕張」から、

「館山」まで行く房総特急列車「さざなみ」に乗った。

「浜金谷」で降りたのは、11時58分。









































列車を降りて、目の前に広がる景色が目に飛び込んできたとき、

本当に久しぶりに、スモッグのない青空と、山と海を目にしたような気がした。




































今日の目的は、「金谷美術館」に行くこと。

開催中の企画展は「現代女流画家の視点―上野の森美術館コレクションー」。























知り合いの画家、池田真弓さんの作品もあった。

抽象表現なのに、みずみずしさをたたえた、彼女らしい画面。

今日、出合うことができて、よかった。

房州石を外壁につかった、シンプルモダンな建物の中には、

一巡したあとに、お抹茶をゆったりいただけるスペースもある。




石蔵を美術館として利用した「別館」も見学。
























小ぶりな美術館だったが、ゆっくりと作品を味わうことができた。


さすがにお腹がすいた。

お昼ごはんは、美術館へ行く道沿いに見つけた店で、

地魚の鯵をたっぷりといただくことにした。





























外は、「ギラギラ」としか表現できないような、強い陽射し。

緑陰と風は、たまらなく嬉しいオアシスとなる。

古民家を改築したカフェでひと休みすることに。





























暑い陽射しを受けて遊びまわって昼寝をすることが日課だった、

幼い頃の「夏休み」の景色の中に、

いきなり迷いこんだかのようだった。



突然プレセントされた一日。

心の絵日記に、クレヨンで描き入れながら、

再び特急に乗って、家路に着いた。


2014年8月7日木曜日

立秋・金春まつり・路上奉納能



















銀座8丁目の金春通り。
路上で行われる奉納能を観に行った。





























午後5時半、まだ空は明るいが、
たくさんの人が集まっていた。

これからここで、何か楽しいことが始まる、という
わくわくとした気分に満ちていた。

午後4時から配られた整理券を持っている人は
簡易座席に座れる。

初めてのことなので、最初はわからなかったが、
銀座4丁目の方向からくると、
左手の店と店のくぼみの部分に
「金春稲荷」が祀られていて、
能は、祭礼棚に向けて演じられる。

「金春稲荷」は、金春祭りの7日間だけ祀らるのだそうだ。

舞台は、高く造るわけでもなく、路面にある。
観賞者の席は、その両側の路上に細長く設(しつら)えられ、
舞台の左側席は新橋側、右側席は銀座側となる。

銀座側では、紅いロープを、立見席の観客が持ち上げて
「橋掛かり」をつくり、そこを行きも帰りも
能装束を身に着けた演者が通ってくれるので、
彼らを間近に見ることができた。

座席の間の、演者が通ったあとの通路に
毛氈(もうせん)を敷いて座る席もあり、
目の前の座布団を手にした人たちがそちらに流れたあとは、
立見席の2列目からも、能をしっかり眺めることができた。

午後6時、主催者のあいさつから始まり、
金春流の先代の家元・信高氏が亡くなったのが
4年前の今日であったというお話があり、
全員で黙とうを捧げた。
信高氏は、「国立能楽堂」を創る折に尽力された方であるという。

本日は、現家元・安明氏とそのご子息も演じられる。

演目は「延命冠者」「父慰」「鈴之段」「獅子三礼」。

始まると同時に、秋めいたひんやりとした風が
通りに吹き込んできた。
まるで、奉納能が自然の神様に守られているかのようだった。

高らかに響き渡るお囃子の音が、
金春通りの細長い天井である空へと吸い込まれていく。

いつの間にか、見ている我々も奉納の空間の中で、
ひとつになっていた。

辺りは少しずつ少しずつ夕闇に包まれていく。







































白い獅子1人と赤い獅子2人が登場し、
紅白の牡丹を脇に置いて舞う「獅子三礼」は、とくに見ごたえがあった。

「神事ですから、撮影はご遠慮ください」
という説明が事前にあったが、
この演目の時には、周囲でシャッター音がいくつも聞こえた。
思わずシャッターを押してしまった、という気持ち、
わからなくなかった。

能が終了し、演者が戻るときも、
衣裳にふれることができるくらい近くを通った。
ここでは、カメラを向けることを許していただこう、と思った。



























夜7時。帰り道は、すっかり陽が落ちて、
名残惜しげな様子の、赤い提灯が見送ってくれた。























そろいの浴衣も楽しげな銀座の風物詩。来年も、ぜひ来たい。