2014年2月16日日曜日

杉並区立角川庭園「幻戯山房(旧角川家住宅)」茶室で



東京の空は朝からきりっと晴れ渡っていたが、

一昨日一日中降り続いた「記録的大雪」と、

昨日の雨によって、地面の方は水浸しで、悲惨な状態だった。

荻窪駅から着物で歩くのはまず無理な状況と判断し、南口からタクシーに乗る。

一方通行の道路があるため、現地の手前で車を降り、50メートルくらい歩いた。

滑らないように、はねを上げないようにと、ゆっくりと。

歩行困難な道を通り抜けてやっと到着。

杉並区立「角川庭園」とその敷地中に建つ「幻戯山房~すぎなみ詩歌館~」。

今日は、その茶室を借りて、親しいメンバーでお茶会をすることになっている。

顔が揃うのは13時であるが、準備のため11時に入った。

ちょうど同じ時刻にタクシーで到着された堀之内宗丘先生も雪の残る坂道を

車椅子で上って来られた。



 

門を入ってからは、しばらく庭の景色を楽しむ。

雪の積もった庭園を歩くことはできないが、

今日しか見られないかもしれない見事に白く覆われた庭と

空の青とのコントラストがとても清々しい!

この瞬間に、ここまでの道の大変さは体中から抜け落ちた気がした。




















































玄関から草履を脱いで建物内に入ると、まず左手に展示室があった。

 














































ここ「幻戯山房」は、

俳人で角川書店の創立者である角川源義氏の自宅だった建物である。

展示室は、角川氏の書斎だった場所。

展示室の奥には、「詩歌室」と呼ばれる大小の洋室がある。

庭に面した大きな硝子戸から光が差し込み、

明るく居心地のよい空間である。

今日も午前中は、大きい部屋は俳句の会で使っていたようだ。

平成21年に5月に区立の施設として開館し、

同年11月には国の登録有形文化財の指定された。






















昔ながらの硝子戸を通してゆらめいて見える庭の景色もまたよい。

南向きの庭は日当たりがよい上に、雪の反射光もあり、きらきらと眩しい。

白梅の花も柚子の実も、春の光を浴びて喜んでいるかのよう。

そんな眺めに見入りながら準備を始めた。























































私たちは一番奥にある茶室と小さい方の詩歌室を使った。

茶室は四畳半で二畳の水屋がついている。

お道具の貸し出しもある。

とくに釜や炉縁、風呂先屏風などのお貸し出しがあるのはありがたい。

炉には灰はなく電気である。

今日のような勉強会茶会の場合にはちょうどよい。
























こうした数寄屋造りの建物や和室の空間を、

管理することは骨が折れることかもしれないが、

家庭の中にそういった要素が失われている今、

日本文化を伝えるための場として、できるだけ大事に保存してほしい。



ゆったりした時は流れ、夕方17時、かたづけて出る時間がきた。

タクシーを呼んでもらい、車椅子用のスロープのある出口から、先生方と共に出る。

管理者として働いている方々は、定年退職後の男性たちなのであろう。

3人いらしたが、どなたも温かみのある対応をしてくださって、

それがこの建物の印象をさらに良くしていると思う。



タクシーに乗るときに「山房」を振り返ると、すでに木製の雨戸が閉められ、

一日を終えた静かな風情がそこにあった。

























森川宗悦先生の用意された本日の菓子、薯蕷饅頭の「早蕨」(千歳船橋・東宮製)。

白と緑の割合がちょうど今日の日にぴったりだった、と思う。








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