早稲田大学の敷地内に建つ演劇博物館は、
坪内逍遥の発案により1928年(昭和8年)に設立。
エリザベス王朝時代の「フォーチュン座」を模して設計され、
世界各国の演劇・映像の資料が納められ、展示されている。
建物の前には、坪内逍遥の講義中の姿を模した胸像がある。
ドナルド・キーン氏(1922年ニューヨーク生まれ・コロンビア大学名誉教授)が
2012年度早稲田大学芸術功労者として顕彰されたことを記念し、
8月4日まで「ドナルド・キーン展」が開催中である。
キーン氏は、これまで70年以上、
日本文化や日本文学についての研究に一心に打ち込み、
世界へ日本文化を伝える活動をしてきたことで知られている。
米国で生まれたキーン氏は2012年、日本国籍を取得する。
本日は、関連演劇講座として
「文楽と近松ー異国で出会う学問と芸術ー」というタイトルで、
キーン氏ご本人のお話が聴けると知って、出かけてきた。
1000人以上を収容する会場の大隈記念講堂は、
ほとんど満杯の状態だった。
早くから並んでいたので、舞台に近い席に座ることができ、
91才のキーン氏の姿と声をまぢかに感じられたのは、
幸せの一語に尽きる。
キーン氏は、日本人の誰よりも情熱的に日本文学の奥深さや面白さを語る。
「日本の高校の国語教育は間違っている」
「国文学ではなく国語(文法)を教えている」
「だから、近松の面白さ、世阿弥の面白さを知らないままである」
と鋭い指摘があった。
まるで、日本人全員が叱られているかのようだった。
キーン氏が日本国籍を選び、取得したというニュースに
どれだけ私たち日本人は感動させられたことだろう。
そんなキーン氏の言葉だから、
誰もが真摯に受け止めるのにちがいない。
私たち大人は、しっかりと自国の文化に向き合い、
この国の教育のカタチを、もっともっと真剣に考えなければならない、と思う。
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