2013年7月17日水曜日

早稲田大学演劇博物館とドナルド・キーン氏講演






















早稲田大学の敷地内に建つ演劇博物館は、

坪内逍遥の発案により1928年(昭和8年)に設立。

エリザベス王朝時代の「フォーチュン座」を模して設計され、

世界各国の演劇・映像の資料が納められ、展示されている。

建物の前には、坪内逍遥の講義中の姿を模した胸像がある。















ドナルド・キーン氏(1922年ニューヨーク生まれ・コロンビア大学名誉教授)が

2012年度早稲田大学芸術功労者として顕彰されたことを記念し、

8月4日まで「ドナルド・キーン展」が開催中である。



























キーン氏は、これまで70年以上、

日本文化や日本文学についての研究に一心に打ち込み、

世界へ日本文化を伝える活動をしてきたことで知られている。

米国で生まれたキーン氏は2012年、日本国籍を取得する。























本日は、関連演劇講座として

「文楽と近松ー異国で出会う学問と芸術ー」というタイトルで、

キーン氏ご本人のお話が聴けると知って、出かけてきた。



1000人以上を収容する会場の大隈記念講堂は、

ほとんど満杯の状態だった。

早くから並んでいたので、舞台に近い席に座ることができ、

91才のキーン氏の姿と声をまぢかに感じられたのは、

幸せの一語に尽きる。



キーン氏は、日本人の誰よりも情熱的に日本文学の奥深さや面白さを語る。

「日本の高校の国語教育は間違っている」

「国文学ではなく国語(文法)を教えている」

「だから、近松の面白さ、世阿弥の面白さを知らないままである」

と鋭い指摘があった。

まるで、日本人全員が叱られているかのようだった。





東日本大震災後の2012年3月8日、

キーン氏が日本国籍を選び、取得したというニュースに

どれだけ私たち日本人は感動させられたことだろう。














そんなキーン氏の言葉だから、

誰もが真摯に受け止めるのにちがいない。

私たち大人は、しっかりと自国の文化に向き合い、

この国の教育のカタチを、もっともっと真剣に考えなければならない、と思う。



0 件のコメント:

コメントを投稿