ライトアップされた夜の歌舞伎座は、昼間とはまた違う顔。
怪しく美しく、見ていても飽きることがない。
気づいたらいつもシャッターを押している。
新しい歌舞伎座がオープンして2か月がたつ。
私と同じようにシャッターを押す人々が、今も歌舞伎座を取り巻いている。
東銀座に、歌舞伎座の姿がなくなってしまった3年間は、さみしかった。
「歌舞伎座新開場」を心待ちにしていた。
街に人に、どんな影響を及ぼすのかも楽しみだった。
開場してみて、同じように思っていた人が多かったことを実感する。
舞台上では、老いも若きも、歌舞伎役者たちが、
私たち観客以上の喜びを感じながら、覚悟をもって、演じている。
そうやって主客一体となった空間が、さらに感動を呼ぶ。
これだけ日本人に喜びを与えてくれる歌舞伎とは、
歌舞伎座の存在とは、なんなのだろう?
演劇評論家・渡辺保さんの講座の案内を見つけた。
歌舞伎について生き字引のような人の話を聴いてみたくて、
日本橋三越前の「YUITO」というビルまで出かけていった。
講座では、ビデオプロジェクターによる大画面に、
今は亡き中村歌右衛門(六代目)や市川團十郎(十二代目)の
舞台に立つ姿が映し出される。
画面に加える、講師の時々のコメントを聴いていると、
今は名優とうたわれている役者たちも、
その重たい名前の中に身を置きながら、
その都度、役柄と取りくみながら、
なんとか自分自身を探りだそうとしてきた、
ということを知る。
古典という型の中に学び、その型を打ち破りながら
同じように、今の若手たちもまた大きく育っていくのだろう。
新しい歌舞伎座に魂を入れるのは自分たちである、
という自覚を持って歩み始めた若手たち。
こうして伝統は受け継がれていくのだ。
よき観客として、それを見守っていきたい。
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