2013年12月13日金曜日

出光美術館で「江戸の狩野派」展を観る


出光美術館(千代田区丸の内3-1-1帝劇ビル9F)で
「江戸の狩野派―優美への革新」(11/12~12/15)を観た。




























狩野派は、始祖・狩野正信が室町幕府の御用絵師に就任し、
二代目の元信が後世に続く堅固な流派を築いて以来、
桃山・江戸時代~幕末明治期まで、
日本画壇の中心的な存在でありつづけた一大画派である。

京都から江戸へと進出した探幽(永徳の孫 1602~74)は、
伝統を受け継ぎつつも、宋元画や雪舟の画を深く学び、
余白を生かした優美・瀟洒な絵画様式を確立する。

早熟で天才肌であったと言われる探幽。
その弟、尚信と安信もまた狩野派の絵師である。

探幽の絵と共に並べられた弟たち二人の絵には、
それぞれに伸びやかな個性が感じられ、
父孝信の教育がよかったのか…
探幽がよき兄であったのか…
と考えると、なんだか微笑ましい。

よき親子関係、兄弟関係があったからこそ、
「江戸狩野」は永く続いたのであろう、
と勝手に想像し、納得する。



出光美術館は1966年に開館した、
古きよき雰囲気を今も残す美術館である。

今日は、金曜日のため、夜8時まで開館している。
見終わると、窓際の休憩スペースには、
夜景を見ながら語り合う人たちの姿が見えた。
心和む風景である。

20年以上前のことになるが、
幼い娘を連れてこの美術館に来たとき、
年配の女性の係の方がニコニコしながら、
「いい子にしてるね」と娘に話しかけ飴玉を手渡してくれた。

小さい子供を連れて美術館へ行くと、
監視員に厳しくチェックされているように感じ、
私はいつも身が固くなっていた。
そんな時、さりげない優しさにふと触れて、
涙が溢れ出そうになったのを思い出す。

平成になったばかりの頃は、
ベビーカーを駅構内や電車内では畳まなければならなかった。
「子供はうるさいから新幹線に『禁煙車』ならぬ『禁児車』を
つくってほしい」と、ある有名人が堂々と発言していた。
幼児を連れての外出は、人に迷惑をかけてはいけない、
という思いでとても緊張した。そのような時代だった。

あれ以来、この美術館に来ると、その時の親切な係の方の対応を思い出しては、
気持ちがあたたかくなる。




 





エレベーターで1階に下り、ビルの外へ出る。
右へ行くと、ブランドのお店が華やかに並ぶ、丸の内仲通りである。
年末のイルミネーションで、さらにこの時期は華やかさが増している。

ふと見ると、京都の「一保堂茶舗 丸の内店」があり、
奥にはお茶をいただける場所もあるようだった。

まっすぐ帰るつもりだったが、ちょっと休憩。
喫茶「嘉木」で、お抹茶と和菓子をいただくことにした。
茶名は「北野の昔」、和菓子は「吉例」(歌舞伎の幕の色合いである)。


















ふっくらとした香りと口当たりに癒やされる。

お抹茶のあとには、少し深く炒った「いり番茶」のサービスもあった。
京言葉での対応も、なんだか嬉しい。

京都らしい、優しいおもてなしにほっとさせられた後、
帰路についた。





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