青山善光寺の茶室で、本日は「港区華道茶道連盟65周年記念茶会」が催された。
立礼席 香席 御家流丹霞会 小泉霞明先生
広間1席 茶席 宗編流 石川宗元先生
広間2席 茶席 裏千家 岩田宗冨先生
朝10時からの開催であったが、9時くらいに着くと、
すでに入り口にはお待ちになっている方々があり、
席入りは早めに行われた。
香席では、香炉が回って来る途中で香木が滑り、
新しいものを用意していただいているうちに、
他で回っていた香炉が回ってきて、
同じ香を、ちがう香炉で2度聞くことになる、というハプニングがあった。
席主から「同じ香でも、その時の火の具合でちがったものに感じられる」
とのお話があったが、まさにその通り。
全くちがう印象となり、最初の印象がすっかり取り消されてしまった。
このようにかおりというものはよりどころのない不確かなものであり、
修行が足りない私は、いつも広い野原に放り出されたような
漠とした不安な気持ちになる。
その微細なちがいを聞きあてることを遊びとした、
日本人の繊細な感覚を改めて「凄い」と思った。
香席のテーマは「波」。
お床には、消息を表装したお軸の下に盆景が置かれ、
細やかな波の表情を映し出していたのが印象的であった。
次に、宗徧流の濃茶席、裏千家の薄茶席へと回る。
いずれも、お道具、お菓子などに季節や心が感じられる
お席を楽しませていただいた。
宗編流のお席では、お床のナンテンハゼの照葉の鮮やかさ、
水指の青磁色の爽やかさが、渋いお道具がそろったお席全体の中に
ぽっと絵具の明るい色を落としたかのような効果があり、
新鮮に感じた。
裏千家のお席のテーマは「炉開き」。
美しい照葉の色のお菓子や織部の重厚なお茶碗。
手元に十分な満足感のある、お気持ちのこもった席であったと思う。
今回の3席、あまり待つことなく入れたのは、
主催者側の工夫もあると思う。
お稽古とは御無沙汰しているけれど、こうして茶会に参加していると、
茶会を楽しむ術が少しずつわかってくるような気がした。
建築空間、道具のしつらえ、集まる人々の着物、
すべての意匠が、美を楽しむことを教えてくれる。
なんと豊かな時間、空間なのかと思う。
日常の中で、これらのものがあまり見られなくなってしまった現代では、
非日常空間に身を置き、一体化することで、
限りない癒しの効果を得ているにちがいない。
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