久々に、白金台の松岡美術館を訪ねることにした。
11時少し前、大江戸線・白金台駅で降り、外苑西通りへと向かう。
松岡美術館は、昭和50年(1975年)に、港区新橋にオープン。
その後、平成12年(2000年)に、
創立者である松岡清次郎(1894-1989)の自宅跡、
白金台の自然教育園のそばに、新美術館が完成し、現在に至る。
ゆったりとし展示スペースと大きな開口部から見える庭の景観が、
いつ訪ねても豊かな心地にしてくれる場所である。
2階建の建物の中に、
様々な地域の様々なジャンルのコレクションが納められている。
なかでも1階のエジプト・中国・インドや現代の彫刻群は、
その大きさ・数などが圧倒的。
ギリシャ彫刻の影響の色濃いガンダーラ仏も、
こんなに、いちどきに見たのは初めて。
ハンサムな、でも判で押したように同じお顔の仏像が、
ずらりと並んでのお出迎えに、びっくりである。
松岡美術館をあとにする。
隣接する庭園美術館・自然教育園を見たいところだが、
庭園美術館は現在改修中。
今日は八芳園へ行ってみよう。
目黒通りに出て左折し、八芳園を目指して歩く。
5分ほどで、堂々たるつくりの正門に到着。
本館2階のオープンエアカフェ「スラッシュ・カフェ」では、
庭を眺めながらの席で、ビュッフェ式の料理を楽しむことができた。
14時からスタッフによる日本庭園案内が始まると聞いて、
参加してみた。
庭園内の桜はまだ2~3分咲きというところか。
でも、ほかにも見どころはたくさんありそうな気がする。
八芳園は、江戸時代には大久保彦左衛門の屋敷、
明治時代には渋沢栄一の従兄弟にあたる渋沢喜作氏の邸宅、
大正・昭和の時代には実業家で日立製作所創設者・久原房之助氏の邸宅、
として受け継がれてきた300年の歴史がある。
「八芳園」の名は、八方どこから見ても美しい庭であることから
名付けられたという。
木戸をくぐって庭園内に入ると、
まず珍しい形の「十三層灯篭」が目に留まる。
500年以上も前のものもあるという大きな盆栽群も、
ここが個人の邸宅であったことを物語っている。
芝生の向こうには、壺中庵(久原房之助の旧私邸)が見える。
木々と石組みの美しさが格別。歩いていることが楽しくなる。
「角亭」と呼ばれる東屋。
少し高いところから池を見下ろすような位置にあり、景色に溶け込んでいる。
池は、その昔この付近の丘陵地帯に沼があり、
そこから流れていた川の跡を池にしたものだという。
池の水が澄んでいるのか、泳ぎまわる鯉のかたちがくっきりと見えた。
神武天皇、明治天皇をはじめ、明治維新の志士たちを
ご祭神とする大護神社。
階段には、とてつもなく大きな一枚の石が使われている。
案内セクションの石井さん、フレッシュなご案内をありがとう。
庭園内の「夢庵」で、抹茶と和菓子を楽しんでから、
八芳園を離れた。
春まだ早い庭は、渋い色合いをしているが、
その季節にしか味わえない空気というものがある、と思った。
膨らみ始めた蕾や芽吹く前の木々の梢に溜め込まれた
たくさんのエネルギーを、肌で感じることができた。
清々しい気持ちになれた午後の時間だった。
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