この日は、駒場の日本民藝館と旧前田侯爵邸を見学したが、
もう一つ欲張って観る、と決めて目黒へと向かった。
目黒雅叙園に着いたときには、午後1時半を回っていた。
まずは、館内の渡風亭の「鯛茶御膳」で昼食をとる。
鯛のお造りに、ごまだれ(この味が絶品!)をまぶし、
白いご飯に載せて、海苔とみつばを盛り、だしの入った番茶をかける。
食事のあとのお茶も美味しく、ほっと一息。
午前中から歩き回っていたので、ここでちょっと休憩である。
ゆっくりと、いけばな展会場へ。
開催中の「いけばな×百段階段2014」は、
目黒雅叙園内にある、東京都指定有形文化財「百段階段」を舞台にして、
51に及ぶ華道の流派の花を、約2ヶ月(3/18~5/18)の期間を9期に分けて
見せていくというものである。
昨日から第1期が始まっている。
池坊、古流松東会、遠州流(山本)、御室流、青蘭流。
エントランスロビーには、
池坊次期家元・池坊由紀さんの作品が展示されていた。
受付を通り、エレベーターで上の階へ。
そこで履物を脱ぎ、
古めかしい、昭和10年築の木造建築の中へと進む。
「十畝の間」「漁樵の間」「草丘の間」
「静水の間」「星光の間」「清方の間」「頂上の間」
と呼ばれるそれぞれに贅を尽くした7つの座敷をつなぐ
ケヤキの九十九段の階段廊下があり、
これら7つの部屋と階段を含めた木造建築の館を
通称「百段階段」と呼ぶ。
「昭和の竜宮城」とも呼ばれる別世界。
各座敷の、壁、天井、床の間、欄間、柱…
すべてが装飾で埋め尽くされている。
独特の美の空間で、
生けられた花の美しさを楽しむという贅沢な仕掛けである。
普段はホテルや百貨店、ギャラリーなど、
白い壁の展覧会会場で見ることが多い生け花作品であるが、
床の間や違い棚などがある重厚な空間の中で見ると、
青銅(からかね)の器に生けられた立花が
本来の場を与えられ喜んでるのか、活き活きと見えてくる。
池坊の「立花正風体」は、このような堂々たる日本建築にふさわしい、
格の高い生け方なのだ、と納得する。
いつも、この「百段階段」の会場で観たいと思いつつ、
機会を逃してしまうのが、
毎年、3/3までの期間で展示する、雛人形・雛道具である。
2010年から始まり今年は5回目「雛の晴舞台」。
1~5回までの写真をつぶさに載せたカタログを売店で見つけた。
眺めていると、日本各地のお雛様を訪ね歩いているような、
うきうきした気持ちになってくる。
迷わず買い求めた。
「文化財ガイド付き見学ツアー&ディナー」という
夜のツアーもあるらしい。
漠然と眺めているだけでは、
細やかな装飾のすべてを見尽くせないので、
「説明付き」は魅力かもしれない。
次の「雛の晴舞台」は約1年後であるが、
豪華な空間での雛人形たちの宴を、
一度見てみたいと思っている。
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