銀座での用事を済ませたあと、少し時間ができたので、
銀座線に乗り「三越前」で降り、「三井記念美術館」へと急いだ。
着いたのは、夕方4時過ぎ。
5時閉館であるので30分ちょっとしか見られないが
それでもよかった。
国宝「雪松図屏風」の展示が明後日まで、と迫っていたため、
一目でも会いたい、という思いだった。
三井記念美術館には、江戸時代以来300年におよぶ三井家の歴史の中で収集され、
今日まで伝えられてきた日本・東洋の貴重な文化遺産が収められている。
平成17年(2005年)10月に日本橋にオープン。
それ以前、中野区上高田5丁目の「三井文庫別館」として展示をしていた頃には、
行きたくてもなかなか行けなかった。
その悔しい思いがあるからかもしれない。
便利になった今、足を運ぶ回数が多い。
国宝6点、重要文化財71点を含む、約4000点の美術品が、展示収蔵されている。
重厚な展示空間の中に納まってる美術品はどれも素晴らしく、
特に、茶道具は逸品ぞろいである。
その上、どの品も保存の状態がとてもよい。
「雪松図屏風」も、
パトロンだった三井家のために応挙が描いたものであり、
以来、三井家を離れずにあるのだから
とても保存状態がよい。
そのおかげで、細部まで応挙の技のすごさを見ることができる。
この作品は、屏風の下地の白をそのまま残し、
あとは墨で松の葉と枝、幹を描き、金泥・砂子を背景に刷いている。
そんなシンプルな描きかたにも関わらず、
ずっしりとした雪とその重みにしなう枝のたおやかさが迫ってくる。
構図や全体の表現の美しさも秀逸だが、
近寄って見る時の驚き!
これがもし、下地の白が黄ばんだり、薄汚れていたら、
感動はここまでにはならないかもしれない。
たくさんの応挙の作品と向かい合ってきたが、
本物の応挙がここにいる、という気持ちになる。
なぜなのか。
これからもう少し、応挙と付き合って、
探ってみたいと思っている。
美術館が入っている「三井本館」は、昭和初期を代表する建造物であり、
館内のゆったりとした造りにも満足しながら、ひとときを過ごすことができる。
美術館入り口は、地下鉄を降りて階段を上ればすぐ。ありがたい。
この便利さ、見終わった後の充実感。
次回の展覧会は「三井家のおひなさま」(2/7-4/6)。
また足を運ぶつもりである。
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