2014年1月5日日曜日

台東区竜泉にある「一葉記念館」を訪ねる


地下鉄日比谷線三ノ輪駅で降り、地上へ出て、
国際通りを浅草方面へ進み、左に折れる。



































「樋口一葉記念館」は、徒歩10分くらいの場所にあった。

高校生の頃に一度来て、また来ようと思いながら、
数えれば40年が過ぎてしまった…。






この地に、記念館ができたのは昭和36年だが、
一葉が五千円札の肖像に採用されたのを機に改築することになり、
平成18年には新記念館が完成した、とパンフレットにある。
確かに40年前は本当に小さな資料館だった気がする。

建物に向かい合うようにして、一葉記念公園があり、石碑が立っている。


 
「たけくらべ記念碑」である。
一葉の小説「たけくらべ」は、一葉が母親と妹の三人で
下谷竜泉寺町に住み、荒物・駄菓子店を営みながら生活した、
その経験を素材にして書かれた。
そのことを記念し、昭和26年に建てられた、とある。


入館料300円を払い、館内に入る。
展示室は2階と3階。地下には研修室もあり、
「朗読会」などのイベントをおこなっている。


建物内、とくに展示室へと続く階段は明るい。
























樋口一葉(本名・奈津)、明治5(1872)に、
甲斐国出身の両親のもと、千代田区で生まれる。

小学校を首席で卒業するなど利発な少女であったが、
進学することは許されず、歌塾「萩の舎」へ入門。

一葉は生涯に4000首もの江戸派の短歌を遺している。
また、その書かれた文字の美しいことに驚いた。
























(写真は、絵葉書)

長兄、父の死によって、家計を背負うことになり、
生活苦との闘いが始まる。

女性が小説家として原稿料を得るのは、
極めて困難な時代であったが、
どんな困難のなかでもあきらめず、こころざしを貫く。

ついに、小説のみで生計を立てることを決心して、
本郷丸山福山町へ引っ越した一葉は、
明治27年に「大つごもり」を発表。

その後、「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」などの代表作が
次々に発表された。
この明治29年1月までの14ヶ月は、のちに「奇跡の14ヶ月」といわれた。

明治29年11月23日、持病の肺結核が進行し、
24歳の一葉は生涯をとじた。

人生はまだこれからという時、無念だったにちがいない。



すぐ近くの住居跡にも行ってみた。
この地に住んで荒物・駄菓子店を始めたことは、
一葉文学に大きな影響を与えたのであろう。











































(写真は絵葉書、長谷川清画「一葉女史宅」)


「社会のどん底に生きる人間の姿に接し、
また店に来る子供達を鋭く観察し、
人間洞察、社会認識を深めたその体験が
作家・樋口一葉を大きく飛躍させたのである」

とパンフレットに書かれていたが、
女性であること、貧困、病苦に負けず、
常に凛として、突き進んでいった一葉。

すばらしい人物である。

しかし、下町にある文学資料館は、
それだけではない、一人の女性としての
温かさや優しさを伝えてくれていたように思う。



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