2015年2月10日火曜日

千葉県立美術館開館40周年記念特別企画展「平山郁夫展」


昭和49(1974)年10月に開館した千葉県立美術館。
建物の老朽化にともなう耐震改修工事のために、
平成25年1月から約2年間閉館していたが、ようやく工事が終わり、
開館40周年を祝う特別記念展「平山郁夫展-仏教伝来の軌跡、そして平和の祈り-」
(1/24-3/22)が始まった。
まだ、訪ねたことのない美術館に、同展を観に行った。

八千代緑が丘から西船橋へ出て、JR武蔵野線で南船橋へ。
そこからJR京葉線で5駅目の千葉みなと駅。
初めて降りる駅である。




















西口を出て、左方向に進むと、
ホテルオークラ千葉の建物が正面に迫り、
大通り(臨港プロムナード)にぶつかる。

















そこから右方向(千葉中央港の方向)へ。
千葉ポートタワーを見ながらしばらく幅広い歩道を歩いた。
大きく育った街路樹が枝を伸ばす。
その木陰を歩くのが、気持ちよかった。




















千葉中央郵便局前の歩道の様子。
木々の枝が歩道に面白く影を落としている。






























どんな美術館が現れるのだろう。
わくわくしてきた。























大きな郵便局の建物の前を過ぎると、視界が開けて突然美術館が現れた。




























 
広々とした敷地を使ってひろがる建物。
こののびのび感は、埋立地の利用のたまものであろう。

美術館の建築について質問したところ、
「東京都美術館と同じ頃に建てられ、よく比較されるのですよ」
と、美術館受付のスタッフの方が教えてくれた。

確かに、外壁のタイルの色や方形のモチーフを連ねたような外観に
関連性を感じる。

上野にある東京都美術館は1975年、前川國男(1905-1986)の設計。
こちらは1974年、大高正人(1923-2010)の設計。
大高正人は1949~1962年前川國男建築事務所にいて、その後独立した。
子弟関係があったということが、あとで調べてみてわかった。
































展覧会は、滋賀県守山市の佐川美術館の所蔵品を中心に、
本画や素描など約90点から構成されていた。

シルクロード・仏教伝来をテーマとして描き続けた日本画家・平山郁夫(1930~2009)。

郷里の瀬戸内海・大三島に、開館したばかりの平山郁夫美術館を訪ねた懐かしい思い出がある。
生前ご活躍中には作品をたくさん拝見してきたが、
亡くなられたあと、こうした大きな規模の展覧会を観るのは今日が初めてである。

悠久の時が流れるシルクロードの自然や遺跡。
京都や奈良に遺された日本の美。
それらを見つめつづけ、1枚1枚を描くたびに重ねられてきた思いが、
強い「平和への祈り」となって、一気にこちらに伝わってくるようだった。

アフガニスタンのバーミヤン石仏の破壊は
私たちにとっても忘れられないショッキングな出来事であり、
今も、崩れ落ちる大きな石の仏像の映像が目に焼き付いている。

あの事件以降とくに、世界の文化財保護への活動に
心血を注いでこられたことも忘れられない。

「遺跡を守ることは人の心を守ることである」という言葉が心にのこる。

若き日の被爆体験と、遺された歴史と文化の大切さを肌で感じてこられた
平山郁夫さんだからこそのお仕事ぶりだったと思う。



































平山郁夫さんが亡くなったいま、その思いをつなぐのは誰なのか。
こうして展覧会を観たものが少しでも、その意志を継ぐ方向へと
足を踏み出さなければならないのではないか。

帰る道々、そんな思いが膨らんできた。



美術館を出たのは16時半。
乗り替えの南船橋駅には、うっすらと夕闇が迫っていた。

















(JR京葉線)






















(JR武蔵野線)






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