2013年5月23日木曜日

京都南座で、海老蔵の『伊達の十役』を観る

市川海老蔵の『伊達の十役』を観に、日帰りで京都に行った。



『伊達の十役』については、文化12年7月江戸の河原崎座で、
七代目市川團十郎が早変わりの大奮闘をした、との記録はあるが、
全く台本が残されていない。

この芝居を164年ぶりに復活させたのは、
市川猿翁(三代目市川猿之助として、昭和54年4月明治座にて初演)。

「“復活”というよりも“創作”に等しい」とご本人が語っている。

この芝居を海老蔵が、ぜひやってみたいと強く希望し、平成22年正月、
新橋演舞場で初演。

その演目が今回、京都の南座で上演される!!!
 
「これはゼッタイ観たい」という気持ちが膨らみ、
膨らんで、抑えようもなくなり、ようやく日にちをひねり出し、
「日帰り京都芝居見物」を計画した。

観たい演目は夜の部だが、
どうせなら新歌舞伎十八番『高時』と歌舞伎十八番『鎌髭』も
ちょっと欲張って観よう、と昼の部のチケットも押さえた。



朝、4時に起きて、きものを着る。
始発電車で東京駅に向かう。
空は快晴。
久しぶりの京都行きに心も弾む♪♪♪

新幹線の中でのお弁当は、お江戸らしい「深川めし」に…。





9時少し前に京都駅着。
帰るときは時間の余裕がなさそうなので、
お土産の宇治の新茶や京都らしい和菓子を先に購入した。

さて、南座まではどうやって行こう?
11時に始まる昼の部まではまだ時間がある。
四条河原町、歌舞伎の発祥の地を訪れるのだから、
鴨川や、歴史ある南座の建物をゆっくりと眺めながら、
京都へやってきた喜びに浸りたい…と思った。
 

地下鉄を乗り継いで三条まで行く。
地上へ上がると、真夏のような日差し。
強く日が当たる鴨川べりから、しっとりと水を打って静かな先斗町へ。
いいなぁ、やっぱりここは京都、赤い提灯がなんだか艶っぽい。





四条大橋から眺める南座は、
最近「お色直し」をした真っ白な銀座歌舞伎座を見慣れている眼には、
少し黒ずんでくたびれて見えたが、
近づいていくと、狭い入り口付近は歌舞伎を愛する人たちが殺到し、
銀座歌舞伎座に負けないくらいの活気に包まれていた。









 
さて、お目当ての『伊達の十役』は、
想像していた以上にスピーディな動きと、
虚をつく早変わりシーンがふんだんに盛り込まれた、
大スペクタクルだった。

夜の部は16時に始まり終演は20時30分の、
約4時間、その間、海老蔵はほとんど出ずっぱりで、
40回以上の早変わりシーンがある。
また、善悪あり、男女ありの、それぞれの性格の10人を、
演じ分けなければならない。
瞬間的に衣装が替わるだけでなく、顔が変わり、声が変わる。

海老蔵の挑戦に声援と拍手を送り続けた。





最初の、登場人物たちの関係を紹介する「口上」、
ここにも海老蔵らしい魅力が表れていた。
観客との距離を縮めようとする、彼独特の「人懐っこさ」が感じられた。

途中、乳母「政岡」の場面だけはテンポを変えて、しっとりと見せる。
ここが海老蔵にとっては一番苦労したところかもしれない。

あとの早変わりシーンは、とても軽やかに楽しそうに演じているように見えた。

驚き、興奮している間に終演。余韻に身を委ねていたい…。
しかし、新幹線の時間を考えて、大急ぎで立ち上がり、
劇場の外に出てタクシーを拾う。

飛び乗った新幹線の中で一つひとつのシーンを思い出す。
これは…観にきて本当に本当に良かった。
そして、この芝居を新たに現代に甦らせ、
演出を手掛けた猿翁に対する尊敬の念も同時にわいてきた。

ブラボー!成田屋も澤瀉屋も応援するぞぉ~。



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